columnそもそも冷え性は病気なのか?

そもそも冷え性って病気なの?

そもそも冷え性って病気なの?
あなたは冷え性と聞いても、「手や足先が冷えるだけ。厚着をすれば大丈夫。」とあまり深刻には考えず、特に対策することもなく放置していませんか?

しかし、東洋医学では「冷え性」は治療すべき疾患とみなされています。実際に、冷え性が原因で以下のような多くの身体の不調を引き起こすと言われています。

・肩こり・腰痛
・不眠
・免疫機能の低下(アレルギー疾患やかぜ等の感染症にかかりやすい)
・生活習慣病・がん
・生理痛・生理不順
・更年期障害
あなたが冷え性と同時に上記のような身体の不調に悩んでいる場合は、冷え性が原因である可能性も考えられます。

冷え性になる原因とは?

① 基礎代謝が低い

基礎代謝が低い
基礎代謝が低い場合、体内で熱が作られる量も少なくなります。そして、この基礎代謝は筋肉量と大いに関連があります。一般的な成人において、基礎代謝の消費量のうち筋肉が全体に占める割合は20~30%とされていて、他の体内器官と比べてもかなり大きな割合を占めています。つまり筋肉量を上げることで、基礎代謝が上がり体内で作られる熱量も多くなるということです。

例えば、冷え性に悩んでいる女性が約7割いるのに対して、冷え性に悩んでいる男性は約1割とかなり下回ると言われています。これは、一般的に男性の方が女性より筋肉量が多く(基礎代謝が高く)、体内で作られる熱量も多いと考えれば納得がいきます。

② 自律神経のバランスの乱れ

自律神経のバランスの乱れ
手足の冷えは、末梢血管が凝縮して血行が悪くなることで引き起こされます。そしてこの末梢の血流は、自律神経の働きによって調整されています。そのため、過度のストレスがかかる生活や不規則な生活を送っていて自律神経のバランスが乱れている人の場合は、手足などの末梢部分まで血液が上手く行き渡らず常に冷えを感じる原因になっているのです。

また、自律神経は前述した代謝の働きにも深く関わっています。自律神経のバランスが乱れていると、代謝の働きが鈍る→体内で作られる熱量が下がる→冷えに繋がるといった悪循環になってしまうので気をつけましょう。

さらに、少し話が変わりますが自律神経は睡眠とも深く関係があります。

③ 間違った食習慣

間違った食習慣
食制限のダイエットや偏食など間違った食習慣は冷え性の原因になります。

理由としては、代謝には「三大栄養素」である糖質・脂質・タンパク質が必要ですが、これらの栄養素が不足していてはそもそも体内で熱を生み出すことができません。また、ビタミンやミネラルは、代謝の働きを高める栄養素になります。つまり、ダイエットや偏食などの間違った食習慣では、これらの栄養素をバランス良く補うことができず代謝機能が低下してしまうため、身体の冷えにつながってしまうのです。

また、現代人に多い悪習慣は「朝食を抜く」ことです。朝食には睡眠中に低下した代謝を高め、体温を上昇させる役割があります。朝食を抜いてしまうと、日中に代謝がなかなか上がらず低体温の原因になるので気をつけましょう。

かんたん冷え性診断!あなたの冷え性レベルは?

以下で、代表的な冷え性の4タイプを紹介します。あなたはどの冷え性レベルに該当するのか診断してみましょう!

レベル1:末端冷え性タイプ
末端冷え性タイプ
手足など体の末端部分に冷えを感じるタイプです。10~20代の若い女性に最も多い冷え性タイプです。原因としては、不規則な生活スタイル、運動不足、無理なダイエットなどが原因として挙げられます。

主な特徴
・手や足先が冷たい
・爪が折れやすい
・運動不足
・ダイエットをしている
レベル2:内臓冷え性タイプ
内臓冷え性タイプ
足先(末端)だけでなく、下半身全体に冷えを感じるタイプです。運動不足や加齢で下半身の筋肉が衰えている人に多いタイプです。下半身の筋肉が衰えると腎臓や膀胱などの排泄に関連する臓器の代謝機能が低下します。これにより体内の余分な水分が排出できなくなり、内臓に水が溜まってしまいます。内臓に水が溜まってしまうと、冷えて働きが悪くなり全身の不調に繋がってしまいます。

主な特徴
・足先が冷たい
・下半身の筋肉が少ない
・足がむくむ
・胃腸が弱い
レベル3:ほてり冷え性タイプ
ほてり冷え性タイプ
下半身は冷えているのに、顔は火照っているタイプです。末端冷え性タイプと内臓冷えタイプが進行した冷え性タイプになります。冷え性のレベルとしては重度ですが、症状は顔や上半身がほてるため冷え性だと気づきにくいので注意しましょう。また、このタイプは自律神経のバランスが乱れているため、イライラしやすいという特徴もあります。

主な特徴
・顔がほてる
・足先・下半身が冷える
・寝付きが悪い・眠りが浅い
・イライラしやすい
レベル4:全身冷え性タイプ
全身冷え性タイプ
最も重度な冷え性である全身冷えタイプです。このタイプの冷え性の人は、一年を通して身体に冷えを感じる人が多いです。不規則な生活スタイルや間違った食習慣によって、内臓の働きが弱り代謝によって体内で熱を十分に作り出せていないことが原因として考えられます。

このタイプの冷え性は深刻であり、波及して肩こりや腰痛などの身体の痛みがでたり、免疫機能低下によりアレルギー疾患や感染症にかかりやすくなったりとかなり危険です。まずは規則正しい生活や、栄養バランスの取れた食事など基本的な部分から改善していきましょう。

主な特徴
・年中冷えを感じる
・肩こり・腰痛などを伴う
・風邪をよく引く
体の芯から温める!冷え性4つの対策

もう一度言いますが、冷え性になる代表的な原因は、①基礎代謝の低下、②自律神経の乱れ、③食習慣です。

ここでは、それらの原因を改善するために簡単に日常に取り入れられるいくつかの対策を紹介します。

① 起床したらコップ1杯の白湯を飲む

起床したらコップ1杯の白湯を飲む
朝起きたらまずコップ1杯の白湯を飲むようにしましょう。人間は寝ている間に大量の汗をかくため、起床した直後は体内に水が不足してる状態になります。そのため、最低でもコップ1杯(約250ml)は水分を取るようにしましょう。水分を補給することで血行がよくなり、1日のはじまりから基礎代謝が上がりやすくなります。

また、水ではなく白湯を飲むということもポイントです。白湯を飲むことで胃腸が温まり、その他の内臓の働きも活性化させることができます。内臓の働きが促進されることで、代謝が上昇し、体内で作られる熱量も増加します。そのため、1年中冷えに悩んでいる全身冷え性タイプの方の場合は、夏場でもできるだけ冷たい水ではなく、白湯を飲むようにするのがオススメです。

②「第二の心臓」ふくらはぎを鍛える

「第二の心臓」ふくらはぎを鍛える
女性の方や、加齢によって筋肉が衰えてきた方が基礎代謝を上げる場合は、ランニングや筋トレなどの習慣的な運動を生活に取り入れるのが一番です。しかし、「時間がない。」「ランニングはハードルが高い。」「筋トレも色々なメニューがあって大変。」などの理由でなかなか長続きしないですよね。

そこで家事や仕事が忙しい方にオススメしたいのが、気づいた時につま先立ちをするというエクササイズです。1日の中でつま先で立つ、歩く時間を作るだけです。これだけで簡単に、ふくらはぎの筋肉を鍛えることができます。また、つま先の上げ下ろし運動も加えることで、より効果的にふくらはぎに負荷をかけて鍛えることができます。

ふくらはぎは「第二の心臓」と呼ばれていて、下半身に溜まっている血液を心臓に戻すという働きがあります。しかし、ふくらはぎの筋肉が衰えている人の場合、下半身に溜まった血液を心臓に戻すことができずそのまま下半身に滞ってしまいます。それが原因で、下半身全体や足先が冷えやすくなります。そのため、ふくらはぎを鍛えて下半身の血液の循環を良くすると同時に、筋肉量を上げて基礎代謝も上昇させるという方法です。

簡単な方法ですが、冷え性の改善にはとても効果的なエクササイズです。

③ シャワーだけでなく湯船に浸かる

シャワーだけでなく湯船に浸かる
湯船に浸かることは、冷え性対策として直接的で最も効果のある方法です。冷え性には体を温めて末梢の血流を改善することが大切ですが、シャワーだけでは体を部分的にしか温めることができず末梢の血流を改善することができません。そのため、10~15分でいいのでシャワーだけでなく、湯船に浸かるようにしましょう。

既に湯船に浸かることは実践しているが、なかなか冷え性が改善しないという方は間違った入浴を行っている可能性があります。以下のポイントに気をつけてみましょう。

1. 半身浴ではなく全身浴
2. お風呂の温度は40℃以下に
3. お風呂上がりは常温の飲み物を
湯船に浸かる際に半身浴が良いという考え方がブームになりましたが、心臓への負担を減らすというメリットはあるものの、体の温め効果は半減します。全身浴であれば10~15分が最適な入浴時間ですが、半身浴の場合は倍の20~30分必要になります。冷え性の方は、今日からしっかり肩まで浸かった全身浴をするようにしましょう。

また、お風呂の温度は熱ければ熱いほど体を温められると思いがちですが、そうではありません。40℃を超える熱い湯船の場合、体温を急激に上昇させた後にすぐに体温が下がってしまうためあまり効果がありません。40℃以下のぬるま湯で時間をかけゆっくり体温を上げる入浴方法が効果的です。さらに、ぬるま湯に浸かることで副交感神経が刺激され、自律神経のバランスを整えることができるのでオススメです。

最後に気をつけるべきポイントとして、入浴後に冷たい飲み物を飲むのはNGです。せっかく温まった体温が一気に下がってしまいます。常温もしくは白湯などの温かい飲み物を飲むことで、就寝前までしっかりと体の暖かさをキープすることができます。

④ 食習慣の改善

食習慣の改善
前述しましたが、ダイエット、朝食を抜く、偏った食事は冷え性には大敵です。一日三食バランスの取れた食事を毎日心がけましょう。

プラスして、体を温める食材と冷やす食材を知っておくと鬼に金棒です。以下にいくつかピックアップしておくので参考にしてください。

体を温める食材 体を冷やす食材
にんじん、かぼちゃ、玉ねぎ、じゃがいも、鮭、納豆、ヨーグルトなど きゅうり、キャベツ、レタス、なす、スイカ、メロンなど
簡単な見分け方としては、冬や寒い地域に育つ野菜・果物(玉ねぎやじゃがいも等)は体を温め、夏や温かい地域で育つ野菜・果物(きゅうりやスイカ等)は体を冷やします。また、発酵食品は代謝の働きを活発にする酵素が含まれるため、体を温める食材です。