2024/11/11
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狭窄性腱鞘炎(ドケルバン病)になった50代女性のパターン
中年・周産期女性の母指側手関節痛
女性に多く発症する腱鞘炎の一つである、狭窄性腱鞘炎(ドケルバン病)について説明いたします。
病態と診断
母指を大きく広げると、手首の所に2本の腱(短母指屈筋腱と長母指外転筋腱)が浮き上がります。この腱と、腱を包む腱鞘との間の摩擦で炎症を起こし、母指を動かすのに痛みが出る、力が入らなくなるなどの状態が狭窄性腱鞘炎です。
この病気は圧倒的に女性に多く、20〜30歳代と50歳前後にピークがあります。
20〜30歳代の女性は
パソコン作業などによる母指の酷使や、
妊娠・出産後のホルモンの関与、あるいは授乳など育児による新生児の頭部を保持する際
の母指外転動作が原因となることが多いようです。
中年以降の女性の場合は、
手を酷使する仕事や
家事による手の酷使など
が原因となります。
診断は、病歴と局所の圧痛・徒手診断テストで確定します。
自分で診断する場合は手関節を最大掌屈し、自分で母指を最大外転させて疼痛を誘発させます。
母指を手で握り、手関節を尺屈させた時に疼痛を誘発させます。
手の狭窄性腱鞘炎はどのように起こるかといいますと、
ほとんどの方は手への血行不良があります。
首が悪くて胸郭出口症候群を患っている方、肩関節周囲のインナーマッスルがガチガチに固まっている方がほとんどです。
手への血流は
心臓から出た血液が
第一肋骨から胸郭の外側に出て、
頸椎周囲の斜角筋の隙間を通って、
鎖骨の下側を通り、
大胸筋、小胸筋の下側を通り、
肩甲下筋や大円筋の下側を通って、
上腕部から手先へ
血流が流れていきます。
ほとんどがこの周辺で血管や神経の圧迫が起こされます。
神経が圧迫されるとその神経の末端の筋肉が勝手に緊張し、ガチガチに固まり、血管を圧迫することも少なくありません。
このパターンを取り除かない限り、狭窄性腱鞘炎は完治していきません。
一時的な固定や安静をしていても、
原因である血流障害に対しては何も改善しないためです。

分析
この女性は介護の仕事、家事作業がとても多く、手を酷使しています。今回は左手の親指の痛みを訴えていました。
この方は右利きですが、左手を酷使していると言うことです。
利き手ではないほうの左手は
重いものを持つとき、
利き手をサポートする時ときに
使います。
利き手の右手では精密動作を行う手です。
例えば火事の時、右手で菜箸を巧みに操り、左手でフライパンを振っているなどが考えられます。この時手首にかかる負担と言うものは明らかに左手の方が大きいです。
検査
手関節周囲が腫れている。
母指がうまく動かせない。
徒手検査の結果は陽性です。
肩関節はガチガチに固まっているが痛みは無い。
肩関節の可動行きは左が明らかに悪い。
肩甲下筋、大胸筋、鎖骨下筋が固まっている。
前王の伸筋群が固まっている。
治療
肩関節で血流障害があると言うことが考えられるため、肩関節の治療メインでおこないます。
肩関節の治療行うと手関節周辺の腫れがひいてきて、手の動きが良くなったことを確認していただきました。
手根骨や手関節を整え、前腕の筋肉の塊を取り除き、親指の痛みを確認していただきます。
これで今回の痛みはほとんど取れました。
親指にはほぼ触れていません。
親指を意識していただくために、テーピングを貼り、親指をサポートするようにいたしました。

治療の説明をしっかり行い、治療の内容と治療の結果がわかっていただいたためとても満足して頂きました。
しかし、今後の生活で手を酷使すると言うことが変わらないため、よくなった手首をまた酷使するということが考えられます。
再度しっかりと治療を続けていかないと、症状の繰り返しが続いていきます。
血流状態が改善されれば症状は勝手になくなってきます。それまでの辛抱が必要ですが継続して治療をしていきたいと思います。
今回のパターンでは、
手関節や親指の骨の変形がなかったため治療がスムーズに行きました。手の使い方が悪かったり、体の血流障害が長期間続いた場合、もっと高齢の場合は筋力の低下や骨の変形が出現していきます。その場合は治療期間がもっと長くなりますがしっかりと症状がなくなっていきます。