%e6%9c%aa%e5%88%86%e9%a1%9e腱鞘炎

腱鞘炎とは?どんな症状がでるの?

腱鞘炎とは、指を動かす際に重要な役割を果たす組織である腱鞘に炎症が起こり、指や手首に強い痛みや熱感を伴う症状のことをいいます。

私たちの指や手には、筋肉と骨を結び付ける腱(けん)という紐のようなものがあり、それが筋肉と連動して動くことで、指や手首を自由に曲げたり伸ばしたりしています。腱が動くときに、骨から離れないように押さえる役割をしているのが腱鞘(けんしょう)という組織です。

腱鞘はトンネル状になっていて、指を動かすとその中で腱が動きます。通常は、腱鞘と腱がこすれ合うことは少なく、痛みを感じることはありません。

しかし、指を早く動かしたり酷使したりしてしまうと、腱が早く動いて負担がかかり、腱鞘とこすれ合う回数が多くなります。こすれる回数が多くなれば多くなるほど炎症を起こしやすくなり、腱は太く、腱鞘の穴は狭くなってしまいます。

これが悪化すると、余計に腱と腱鞘はこすれ合ってしまい、指や手首を動かすと痛みが生じます。腱鞘炎とは、このような状態のことをいいます。

腱鞘炎のしくみ
また腱鞘炎には2つの種類があり、それぞれ特徴があります。

○ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)

ドケルバン病とは、親指と手首(手関節)をつないでいる2本の腱「短母指伸筋腱」「長母指外転筋腱」と、その2本を覆うトンネル状の腱鞘が炎症を起して生じる腱鞘炎です。

親指側の手首が腫れて痛みが生じ、さらに、症状が悪化してしまうと力が入らなくなってしまうことがあります。

ドケルバン病のしくみ
○ばね指(弾発指)

ばね指とは、指の曲げ伸ばしをする働きがある「屈筋腱」と、屈筋腱の浮き上がりを押さえるトンネル状の「靭帯性腱鞘」が炎症を起して生じる腱鞘炎です。腱鞘の中で腱がスムーズに動くことができず、指の付け根に痛み、腫れ、熱感が生じます。

指の曲げ伸ばしの際にばねのような引っ掛かりが生じ、症状が悪化してしまうと指が動かなくなってしまうのが特徴です。

ばね指のしくみ
腱鞘炎の種類の比較表▼
ドケルバン病 ばね指
特徴 手首に症状が現れる 指に症状が現れる
症状 ・親指を曲げたり広げたりすると手首が痛む。
・親指側の手首が腫れる。
・手の力が入らなくなってしまう。 ・手のひら側の親指や人差し指、中指の付け根などが痛む。
・指の曲げ伸ばしの際にばねのような引っ掛かりが生じる。
腱鞘炎にも2つの種類(ドケルバン病とばね指)があることが分かりました。

では、腱鞘炎になってしまう原因とは何でしょうか。それについては次に解説していますので、このまま読み進めてくださいね。

腱鞘炎になる主な原因は??

腱鞘炎になる主な原因として考えられるものを見てみましょう。

○長時間のスマホ操作

長時間のスマホ操作
スマホを使うとき、片手の親指ばかり使って操作している方も少なくないと思います。現代人にとって馴染みのある動作ですが、それを長時間続けてしまうと親指が酷使され、腱鞘炎になってしまう可能性が高くなってしまいます。

特に、画面が大きいスマホを使用している場合は注意です。画面が大きいと親指を大きく動かすことになるため、更に負担がかかってしまいます。

○長時間のパソコン作業

長時間のパソコン作業
スマホ操作と同じく、長時間のPC作業も指に負担がかかります。中でもタイピングが早い人(指の動く速度が早い人)ほど、腱を激しく動かしていることになるので、腱鞘炎になりやすい傾向にあります。

キーボードを強く叩くことも、必要以上に手や指に負担をかけていることになりますので注意が必要です。

○長時間のゲームプレイ

長時間のゲームプレイ
手や指をよく使うゲーマーも、腱鞘炎には注意しましょう。キーボードのタイピング操作や、ボタン連打が必要なゲームは指を駆使してプレイするため、腱鞘炎になりやすくなってしまいます。

ただ、コントローラーのスティックを操作するときは片手の親指だけ使いがちになってしまうので、その指だけに負担がかかり、腱鞘炎が起こりやすい傾向にあります。

○グリップやボール等を握るスポーツをする

グリップやボール等を握るスポーツをする
テニスや野球などのスポーツは、腱鞘炎になりやすいとされています。理由としては、グリップやボールを握る動作は指や手首に負担が掛かりやすく、それに『打つ』、『投げる』といった動作で強い衝撃が加わり、さらに負担を大きくしてしまうからです。

腱鞘炎にならないためには、過度な練習は避けて休養をしっかりとること、正しいフォームで練習することなどが大事です。

腱鞘炎になる主な原因▼
・長時間のスマホ操作
・長時間のパソコン作業
・長時間のゲームプレイ
・グリップやボール等を握るスポーツをする
上記の他にも、文字をたくさん書いたりする人や、ピアノ等で指を使う楽器を演奏する人も腱鞘炎になりやすいとされています。結論として、手や指をたくさん使うと腱鞘炎になりやすいということですね。

また、「更年期以降の女性」や「妊娠・出産期の女性」で腱鞘炎に悩む人も多いようです。理由としては、女性ホルモンのバランスの変化が影響すると考えられています。

これらの原因を見て、当てはまるものがあった方は、「自分が腱鞘炎かどうかチェックしたい」と思われたかもしれません。

実は、今すぐ腱鞘炎のチェックができる方法があります。チェック方法については次に解説していますので、このまま読み進めていきましょう。

今すぐできる!腱鞘炎のチェック方法

腱鞘炎には、手首に症状が現れる「ドケルバン病」と、指に症状が現れる「ばね指」の2種類あると前述で説明しましたが、それぞれ種類によってチェック方法が異なります。

○ドケルバン病のチェック方法

ドケルバン病のチェック方法は3つあります。

チェック方法1.フィンケルシュタインテスト

1.手を前にだし、親指を内側に倒す。

2.反対の手で親指を掴み、小指の方へ引っ張る。

チェック方法1.フィンケルシュタインテスト
上記の写真と同じ形をとったとき、痛みを感じることがあればドケルバン病の可能性があります。

チェック方法2.フィンケルシュタインテスト変法

1.親指を内側に入れて、握りこぶしを作る。

2.その形のまま、小指側に倒す。

チェック方法2.フィンケルシュタインテスト変法
小指側に倒したとき、痛みを感じることがあればドケルバン病の可能性があります。

チェック方法3.岩原・野末のサイン

1.手首をできるだけ折り曲げる。

2.折り曲げた状態で、親指を人差し指の間をできるだけ開く。

チェック方法3.岩原・野末のサイン
開いたとき、痛みが増した場合はドケルバン病の可能性があります。

○ばね指のチェック方法

1.指の付け根を軽く押す。

2.押した状態で指を曲げたり伸ばしたりを繰り返す。

○ばね指のチェック方法
曲げ伸ばしを行った際、指の動きが硬くてぎこちなかったり、少し痛みを感じたときは、ばね指の可能性があります。

また、曲げた指を伸ばす際に、指がはじけるように急に伸びた場合もばね指の疑いがあるので注意が必要です。

いかがでしょうか?

もし腱鞘炎になっている可能性がある場合は、早急に改善する必要があります。なぜなら、腱鞘炎になったまま放置すると、症状が悪化して、ほんの少し指を動かすだけでも激痛を感じたり、思うように手を動かせなくなったりして日常生活に大きな支障をきたすからです。

腱鞘炎の治し方は次に解説していますので、このまま読み進めてくださいね。

腱鞘炎を改善!主な4つの治し方

前述した通り、腱鞘炎になっていた場合は放置せず、なるべく早く治療しなければいけません。

しかし、『治したいけど、どうすればいいか分からない』、『どんな治療法があるのかわからない』と疑問を持っている方もいるのではないでしょうか。

結論からいうと、腱鞘炎の重症度によって効果的な治し方が異なってきます。

今から腱鞘炎の4つの治し方を解説しますので、さっそく確認してみましょう。

治し方①テーピング治療

治し方①テーピング治療
テープで手を固定し、指や手首をなるべく動かさないようにして腱鞘炎の炎症を抑える方法です。腱鞘炎が軽症の場合は、テーピング治療が効果的です。

また、腱鞘炎の種類によってテープの巻き方が異なります。

【ドケルバン病改善のテーピング方法】

1.テープを下記画像のような大きさにカットする。(伸縮性のあるテープを選ぶこと)

1.テープを下記画像のような大きさにカットする。(伸縮性のあるテープを選ぶこと)
2.親指を小指側に軽く曲げ、Aのテープを爪の付け根(親指の中間部よりやや上)に貼り、手首に向かって軽く引っ張りながら貼る。

2.親指を小指側に軽く曲げ、Aのテープを爪の付け根(親指の中間部よりやや上)に貼り、手首に向かって軽く引っ張りながら貼る。
3.Bのテープを引っ張りながら、手首を巻くように貼る。(この時、半周きつく、半周軽く貼ることがポイント)

3.Bのテープを引っ張りながら、手首を巻くように貼る。(この時、半周きつく、半周軽く貼ることがポイント)
4.Aのテープが剥がれないよう、Cのテープを爪の付け根(親指の中間部よりやや上)に巻くように貼る。

4.Aのテープが剥がれないよう、Cのテープを爪の付け根(親指の中間部よりやや上)に巻くように貼る。
【ばね指改善のテーピング方法】

1.手のひらを広げて親指を伸ばす。

1.手のひらを広げて親指を伸ばす。
2.伸ばした親指を痛くない方向に少しだけ戻し、その状態で非伸縮テープを親指の中間あたりから小指側の手首までまっすぐ貼る。この時、痛みを感じる親指の間接の上にテープが通るようにする。

2.伸ばした親指を痛くない方向に少しだけ戻し、その状態で非伸縮テープを親指の中間あたりから小指側の手首までまっすぐ貼る。この時、痛みを感じる親指の間接の上にテープが通るようにする。
3.次に、親指の後ろから痛みを感じる間接の上にテープを巻いてクロスさせ、手首までまっすぐ貼る。

3.次に、親指の後ろから痛みを感じる間接の上にテープを巻いてクロスさせ、手首までまっすぐ貼る。
4.3と同様に、今度は反対側の親指の裏から手首までまっすぐ貼る。

4.3と同様に、今度は反対側の親指の裏から手首までまっすぐ貼る。
5.続いて、伸縮テープを用意する。伸縮テープの先端に2cmほどの切れ目を入れて親指の中間部を包み込むように貼り、2.3.4で貼ったテープを覆うように手首の方へ少し引っ張りながらまっすぐ貼る。

5.続いて、伸縮テープを用意する。伸縮テープの先端に2cmほどの切れ目を入れて親指の中間部を包み込むように貼り、2.3.4で貼ったテープを覆うように手首の方へ少し引っ張りながらまっすぐ貼る。
6.手首まで張り終えたら引っ張らずに手首を一周させて、テープをカット。

6.手首まで張り終えたら引っ張らずに手首を一周させて、テープをカット。
こうしてテーピングすることにより、炎症している手首や指を動かさないように固定させます。

ここではテーピングの方法をご紹介しましたが、テープの他に、手や指を固定するものとして腱鞘炎用のサポーターが販売されています。「テープを巻くのが面倒くさい」といった方は、テープの代わりにサポーターを使ってみてもいいかもしれません。